■ デジタルIOを行う製品でのラッチアップについて
デジタル回路において、電源電圧は通常、基板上・回路上で使用可能な最も高い電圧となります。 (※トレラント機能がある特殊なデバイスを除いての一般論です)
「電源電圧<デジタルIOピンの電圧」のような状態、すなわち電源電圧より入力ピンに印加される電圧がそれを上回る電位となるような構成は厳禁です。
このように電源(VccやVdd)の電位より、IOピンの電位が高くなると多くのデジタル回路では「ラッチアップ」が発生します。 ラッチアップが発生すると、使用している機器のICは発熱し誤作動します。またそのまま放置すると機器は破損に至ります。 ラッチアップを発生させない!これはデジタル回路設計において、基本でありとても重要です。
例えばUARTやI2C,SPIなどシリアルインターフェイスをもつ機器・デバイスと、外部のマイコン等と接続する時には、「電源電圧>=デジタルピン」となるよう徹底しなくてはなりません。 シリアルインターフェイス機器の電源がOFF(=電源電圧0V)にも関わらず、シリアル通信のピンに電圧がかかっていれば、電流が流れ機器はラッチアップします。 ラッチアップの発生は機器の誤作動、故障を引き起こします。
ラッチアップについてはデジタル回路を作る場合、特殊なデバイス除いて絶対に設計者が注意し対策をした回路を作らなくてはいけません。
特にシリアル通信では外部機器と接続する関係上、電源電圧よりデジタルピンの電圧が高くなるような状態になることがないよう留意してください。 一部の製品、デバイスでは電源電圧が3.3VでもIOピンには5Vが印加できる「5Vトレラント」のものもありますが、それは特殊な例であり原則は電源電圧の電位をIOピンの電位が上回らないようにしなくてはなりません。 次の原則を必ず守った設計をお願い致します。
■必ず厳守!!
@電源端子間の電圧より高い電圧を、信号線に絶対に印加しない。 A電圧が印加される順序は必ず「まずは電源」→「続いて信号線」を厳守する。逆は厳禁。 B立ち上がりの遅い電源の場合には、Aが遵守されているか確認する。 C電源投入中には「信号線はオープンにしない」。手で触って静電気を与えない。 Dノイズを信号線に入れないようにする。電源の変動(一時的な電位の低下)に注意。 E万一ラッチアップしても過大な電流が流れないよう電流を制限できる保護回路を作る。 F信号線から大きな電流が流れないよう電流制限抵抗を取り付ける。 GICが発熱したら即、電源遮断。ラッチアップを疑い適切な処理をする。
ラッチアップについて、ネットで検索するなどして十分な知識を持ってご使用ください。
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